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チャレンジャーバンクとフィンテック革命 

消費者と銀行の関係は複雑です。愛憎相半ばする気持ちを抱きながら、一般の恋愛関係よりも長く付き合うことが多いものです。お金のことになると、人は事を荒立てるのを嫌うため、これまでは銀行についてあれこれ文句は言っても、取引銀行を替えてしまう人はほとんどいませんでした。 

金融業界は閉鎖的なことで有名です。既存企業の既得権が守られ、新規参入のハードルは高いと言われてきました。 

しかし、デジタル時代に突入し、このような常識は通用しなくなりました。英国ではAtom Bank、Monzo、Revolut、Starlingなどのスタートアップが金融サービスに参入し、業界のイノベーションを加速させています。
 

2014年に設立、2016年10月にサービス提供を開始したAtom Bank (アトムバンク) は、フィンテック業界のフロントランナーです。アトムバンクはイングランド北東部に本社を置くスタートアップで、顧客が銀行とやり取りする方法を根本から変えました。支店を持たず、顧客にはスマートフォン用アプリを介してサービスを提供しています。2018年春には、たった1回の資金調達ラウンドで1億4,900万ポンドを獲得しましたが、これは投資家が同社の成長性に大きな期待を寄せていることの現れです。アトムバンクの預金残高はすでに10億ポンドを超え、英国で最も成長著しいモバイル銀行の一つになっています。

「モバイルファースト」を謳うMonzo (モンゾ) も顧客の支持を得ています。モンゾはアプリとデビットカードを組み合わせて、インテリジェント通知や即時残高更新などの透明性の高いサービスを提供し、顧客が自分の預貯金の管理を簡単に行えるようにしています。

Starling Bank (スターリングバンク) もスマホ世代をターゲットとしています。個人用口座や事業用口座を開設した顧客は、保険、年金、住宅ローン、投資などの金融サービスを提供するサードパーティプロバイダーにワンストップでアクセス可能なプラットフォームを利用できます。 

また、Revolut (レボルート) は両替とP2P送金サービスを提供します。顧客はわずか3分で口座を開設でき、ATM経由で90種類の通貨で受け取り、23種類の通貨で送金することができます。サービスのほとんどは無料です。 

このような「チャレンジャーバンク」は金融サービスの常識を変え、従来型の銀行に変革を迫っています。金融サービスのデジタル化に伴う顧客行動の変化によって、英国内だけでも過去5年間で主要銀行が1700の支店を閉鎖しています。 

英国がフィンテック革命の先頭を走っていることから、アメリカのシティグループは、最新イノベーション研究ネットワークの拠点としてロンドンを選びました。ラボはデータの可視化やハイテクコンピューティングなどの最先端テクノロジーの開発に重点を置いており、同社の決定がロンドンのフィンテックシーンをさらに活性化することになるでしょう。

フィンテック系スタートアップの勢いに負けじと、既存の銀行も独自のデジタルサービスの開発に多額の資金を投入しています。今や預貯金管理はモバイルで行うものという認識が広まっており、例えばHSBCは、9割以上の顧客取引がデジタルチャネルで行われていると述べています。これは2016年比で80%増です。 

英国は昔から世界の金融の中心と言われてきました。フィンテック革命の先頭に立つ英国は、今後もこの分野における優れたハブであり続けるでしょう。金融業界の変革は始まったばかりであり、新しいスタートアップが毎日のように登場しています。 

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