福島第一で線量がれき調査を行う英国の自律飛行ドローンシステム
※この記事は2018年11 月に英国大使館ブログに掲載されたものです。
福島第一原子力発電所の廃炉を進めるための国際フォーラムが2018年8月5日(日)、6日(月)に開催されました。このフォーラムに参加するために来日した英国企業Createc社は、福島での廃炉を進めるための先進技術を提供しています。同社の人工知能(AI)を活用した自律飛行ドローンシステムもその一つです。Createc社のマネージングディレクターであるマット・メラー博士に日本でのビジネスについて伺いました。今回の記事はパート1として、インタビュー内容をご紹介します。
放射線を三次元で可視化する小型軽量カメラを開発
Createc社は、英国の北西部にあるカンブリアに拠点を置く技術企業です。稼働を停止したセラフィールド原子力施設向けに、廃炉に必要となる技術開発を主な事業として、2010年に設立されました。
「当初は、英国の次にビジネス展開先として米国を想定していましたが、2013年には弊社が開発した、放射線を三次元で可視化する耐放射線、小型軽量ガンマカメラ『N-Visage』を日本でのビジネスパートナーであるINS Japanの協力のもと、東京電力に納入しました。これが海外との初めてのビジネスで、同年には日立GE、2014年には三菱重工業とも契約が成立となりました」とメラー博士は語りました。
開発までに3年かかった自律飛行するドローン
福島での仕事は、セラフィールドでは存在しなかった多くのチャレンジがあったとのこと。
「セラフィールドでも、高い線量の放射線が検出され、作業現場は乱雑ではありましたが、ドアで仕切られた向こう側はクリーンな環境でした。その一方で、福島はいくつもの部屋を通り抜けないと目的地に辿り着けませんでした。」
そこでCreatec社が開発したのは『Riser』という自律飛行するドローン。その特徴は、飛行する環境データをガンマカメラ『N-Visage』に取り込むことができること、そしてデータをAIが導入されたCreatec社独自のシステムで処理することで、円滑な飛行が可能になることだそうです。
『Riser』の開発に関してメラー博士は「 様々な大学や研究機関が発表しているアルゴリズムを試してみましたが、どれも福島の問題を解決することはできず、公表されている研究成果をベースに、弊社独自のものを最終的には開発することとなりました。2013年から開発には3年かかりましたが、一年半前に福島第一施設で初飛行することができました」と話しました。
『Riser』の開発成果はハンドヘルドの測定器にも展開しています。
「低い放射線量のみ対象ですが、放射線の周辺での動きを高精度で三次元測定することが可能です。こちらの測定器も福島第一で今後利用することが検討されています」とメラー博士は語りました。
*Createcは英国政府のプログラムに参加し、2012年に初来日。英国大使館原子力担当部門が以来、ビジネスを支援している企業の一社です。
英国の取り組みについてさらにご興味のある方は、英国・国際通商省が発行しています英国政府のクリーンな低炭素経済への移行の取り組みについて、また企業のビジネスチャンス、事例紹介についてまとめたレポート(日本語)をダウンロードいただけます。下記フォームをご記入いただきますとダウンロード可能ページに飛びます。
「英国ビジネスニュース」配信登録
英国大使館では、英国のスタートアップ・エコシステムやビジネス環境、日英の貿易・投資ニュースなどを日本語でご紹介するニュースレターを無料で隔月配信しています。登録をご希望の方は、下の「登録する」ボタンを押してご登録ください。
登録する