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英国の車両サイバーセキュリティ

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世界の自動車産業がCASEやMaaSへと変革を進める中、現在世界的に注目されているのが車両サイバーセキュリティの領域です。未来の車両に関する技術が日進月歩で高度化するとともに、サイバー攻撃への継続的な対策も不可欠となっています。安心安全な未来型モビリティ社会を享受するために、各国が足並みを揃えて環境を整備していかなければならない時代に突入しました。

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これらの動きを背景に、国連欧州経済委員会の自動車基準調和世界フォーラム(UNECE WP29)では、サイバーセキュリティとソフトウェアアップデートに関する初の国際基準(UN-R155/156)が採択され、2021年1月から施行されました。英国は、国際基準策定にあたり、日本とともに専門家会議で共同議長を務めています。また、世界4大監査法人のひとつであるKPMGが2020年に発表した自動運転車対応指数のサイバーセキュリティ分野で、英国は世界第1位にランクされています。英国は、世界をリードするサイバーセキュリティ技術を土台に、規制緩和への柔軟な体制、世界レベルの研究基盤、そして積極的な投資などにより、車両サイバーセキュリティにおいてさまざまな先進的な取り組みを行っています。

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CAV分野における英国の先進的なアプローチとイニシアティブ

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2021年1月に発表された英国運輸省委託の市場予測レポートで、2035年までに約420億ポンドの市場へ成長すると見込まれている英国のCAV(Connected and Autonomous Vehicles、コネクティッド・自動運転車)産業。英国は2015年より、CAVの重要な拠点となるべく2億ポンドを投じ、研究開発や環境整備を進めています。英国運輸省とビジネス・エネルギー・産業戦略省の共同政策部門であるCentre for Connected and Autonomous Vehicles(CCAV)が中心となり英国でのCAVへの取り組みに資する法整備や技術開発、人材育成などへの投資を行っています。さらに、産学官一体となってさまざまな画期的なプロジェクトを推進しています。その一例が、政府と民間の共同事業として2017年に設立されCAV推進の主要パートナーの一つであるZenzic主導のもと、産官学が協働で運用するCAM(Connected and Automated Mobility、コネクティッド・自動運転モビリティ)Testbed UKです。

 

CAM Testbed UKは、ロンドンからイングランドの中央部・バーミンガムにかけての、車で3時間以内に移動可能な圏内に拠点を置く、6つのテストベッドで構成されています。それぞれが独自の環境や設備を提供し、さまざまな角度からCAVの実証実験を行える画期的な取り組みです。また、Zenzicが2020年に発表したCAMの2030年へのロードマップ(第2版)では、117のCAM Creatorと呼ばれるパートナー企業が参画し、CAMのビジョンを実現するため、法規制、インフラ整備、安心安全の確保などの多面的なカテゴリにおける到達までの道筋を、包括的に提示しています。このロードマップにおいては、車両サイバーセキュリティに関連するマイルストーンが50%を占めており、CAM実現にサイバーセキュリティがいかに重要かを物語っています(これらの取り組みについては2020年12月1日に行った車両サイバーセキュリティ企業によるピッチイベントでのZenzic基調講演でご紹介しています)。

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Millbrook-Culham Urban Testbed
写真提供:Millbrook
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英国の車両サイバーセキュリティとその強み

 

上に挙げたCAV全体の政策基盤整備や仕組み作りに加え、同領域において英国が特に重要視し力を入れているのが、車両サイバーセキュリティです。英国のサイバーセキュリティ技術は、100年以上にわたる情報通信セキュリティ分野での豊富な経験により培われています。政府による人材・産業育成の強力な後押しを受け、2020年現在、英国では1200社を超えるサイバーセキュリティ企業が活躍し、年間83億ポンドを生み出す欧州最大の市場に成長しています(英国のサイバーセキュリティの概要についてはこちらをご覧ください)。

 

英国の先進的かつ包括的なサイバーセキュリティ政策の中心を担っているのがNational Cyber Security Centre(NCSC)です。英国政府通信本部(Government Communications Headquarters、通称GCHQ)の傘下であるNCSCは、2016年の発足以来、英国におけるサイバーセキュリティのミッションを主導し、国際的なプレゼンスを示してきました。

 

英国はその強みを車両分野でもいかんなく発揮しています。サイバーセキュリティをCAV成功の鍵ととらえる英国では、車両サイバーセキュリティの技術向上や制度整備に、NCSCをはじめ各省庁および産学官が横断的かつ包括的に取り組んでいます。2017年に、政府はThe Key Principles of Cyber Security for Connected and Autonomous Vehicles(CAVのサイバーセキュリティの主要原則)を発表するとともに、その検証やサイバーリスク管理のガイドラインを策定しました。また制度整備や技術開発にも積極的に投資しています。その一例が、先に挙げたCCAVによって2019年9月に開始された、英国内の車両サイバーセキュリティの安全基準であるCAVPASS(安全性とセキュリティを確保するためのコネクティッド・自動運転車プロセス)です。このプログラムは、CAVのテスト走行や販売認可を受けるために満たすべき基準とプロセスを策定するものです。また、2020年には、政府から1200万ポンドの支援を受け、ZenzicがCAMのサイバーセキュリティを検証する施設設立に向けた7つのフィジビリティスタディ(実行可能性調査)を実施しました。このプロジェクトでは、CAVや車両サイバーセキュリティ、通信分野で世界を牽引する国内外の有力企業や学術機関などがパートナーシップを組んで参画し、サイバーセキュリティの検証およびモニタリング、検証施設の要件、そして商業利用の3つの観点から、革新的な技術や取り組みを提唱しています。このように、英国の車両サイバーセキュリティ分野では、高度に発展した英国のサイバーセキュリティのエコシステムを土壌に、産学官が一丸となって英知を結集し、世界最先端の取り組みを行っています。

 

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車両サイバーセキュリティにおける日英協力

 

こうした成果のもと、英国の車両サイバーセキュリティ企業は先進的な製品やサービスを提供し、活躍の場を広げています。
このページでは、その中でも選りすぐりの精鋭企業を紹介しています。世界のモビリティ・ビジネスに専門的かつ信頼できるアドバイスやサービスを提供するのに最適の環境にある英国の車両サイバーセキュリティ企業は、コネクティッド・自動運転車の開発・運用にあたり理想的なパートナーと言えます。世界の自動車産業をリードする日本と世界トップクラスの車両サイバーセキュリティ企業の協力は、世界のCAV産業のイノベーション推進に大きく寄与することでしょう。

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英国サプライチェーン・サイバーセキュリティ・Weekを開催

3月22日~26日開催の本イベントでは、同分野における英国の先進的な企業や取り組みを紹介するとともに、日英における課題やその解決に向けた国際連携について考えます。

 

詳細・登録

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